副院長のブログ

誓いの明日

2012-11-10 22:55:13投稿

1年程前より右上奥歯の歯肉炎が月一回の頻度で起こっていて、抗生剤内服で対処していましたが、半年前には右上顎洞付近の痛みも感じました。そこで歯性上顎洞炎の可能性を考えて当院でX線を撮り、歯科や耳鼻科で診察を受けましたが “異常無し” との診断でした。

10月中旬より、同部位の知覚過敏が起こって鎮痛剤が手放せなくなったため、もう一度歯科で精査を受けました。一度は歯に薬を塗布して様子を見ることになりましたが、効果はありませんでした。そこで第二小臼歯のクラウンを外すことになったのですが、第一大臼歯のクラウンと癒着していたため両方を外したところ、何と第一大臼歯はクラウンの中に汚れがぎっしり詰まっていて手遅れの状態でした。そして止む無く抜歯となりました…。

私は、大の歯磨き好きで、フロスや歯間ブラシも駆使して歯をケアして来ました。それが、このような結果になり大変落胆しています。確かに、クラウンですっぽり覆われた歯の中は肉眼では判らないし、X線の診断にも限界があります。だからといって簡単にクラウンを外すことは、無駄な侵襲を加えるリスクがあるのも理解出来ます。しかし、 “異常無し” と断言せずに、クラウンの中に異常がある可能性を説明することが必要だったのではないでしょうか?

開業医の使命は、限られた時間と設備の中で、如何に見落としの無い診察をするかということです。眼科では、若くて瞳孔の大きい人であれば眼底周辺部まで診ることが出来ますが、高齢で瞳孔が小さく白内障が強くて眼底が見えにくい場合は、異常を見落とす可能性があります。つまり、眼科医が診断を下す際には、いかに直接組織が見える状況に持ち込むかが重要であって、それが出来ない状況であればその旨を患者さんに説明すべきなのです。もちろん、視力低下以外の症状で受診される患者さんは気にされない方も多いのは事実ですが、大切なことは “状況を説明すること” だと思います。

ある患者さんは初診時に水晶体皮質混濁が強くて眼底が見えにくい状態でした。そのため散瞳をして眼底精査を行いましたが、視神経に緑内障性変化が疑われました。結局、視野検査で明らかな視野狭窄を認めたため、正常眼圧緑内障として点眼治療を開始したのですが、その数日後に “今まで緑内障の緑の字も言われた事が無いのに、眼圧が高いと言われ、視野の検査までされて不安を煽って、おたくは”病気を捏造する医者か!“ と長々と電話でお叱りを受けました。

このように、良かれと思って精査をしても逆ギレをされて、悪い噂を流されるリスクもあります。それでも今回私自身が歯を失ってみて、説明の大切さを痛感したため、これまで以上に一人一人の患者さんに時間をかけて説明していこうと心に誓いました。そして患者さんが多すぎる眼科では、歯科の場合と同様に患者さんに十分な説明が出来ないことは明明白白ですから、そこを選ぶメリットを私は見出すことが出来ないのも事実です。