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最新30件のブログ

ロベルト・シューマンの交響曲を愛す

2019-07-28 13:22:15投稿

私はNHK FMのクラシック番組を愛聴していますが、特に土曜夜の“N響 ザ・レジェンド”は世に出る事の無かった秘蔵音源なので、好きな指揮者や曲目の場合にはカセットやMDにエアチェックしています。まさかマタチッチのブルックナー5番やカラヤンの悲愴をN響で演奏していたなんて夢にも思わず、当日は部屋中にラジカセ(懐古趣味なので、シャープのGF-909やAIWA CA-3など現役で使っています)を並べて(6~7台置けばサラウンド以上になります)照明まで落として至福の時間を過ごしました。

昨夜まで4週にわたってウォルフガング・ザヴァリッシュのシューマン・チクルスをやっていましたが、交響曲第4番の第一稿は初めて聴きましたし、ピアノ協奏曲のカデンツァのみ私の好みではありませんでしたが、交響曲は期待通りの名演でした。シューマンの交響曲はオーケストレーションが未熟だと言われますが、シューマンを愛する指揮者にかかればたちまち素晴らしい曲になります。フルトヴェングラーの4番は言わずもがな、個人的には若きバーンスタインがニューヨーク フィルハーモニックと録音した交響曲全集がお気に入りです。

ちなみに私が一番好きなのは2番で、動と静の起伏の激しさにシューマンのその頃の精神状態の不安定さと苦しみが緊迫感を漂わせていて、多くの葛藤を抱える私の心と共鳴する部分があるからだと思います。バーンスタインは亡くなる3ヶ月前にPMFオーケストラで2番を振っていますが、涙無しには聴く事が出来ません。

しかし、バーンスタイン最期のライブ映像を見ると、とても苦しそうで体調が悪い事が誰の目にも明らかです。それでも自身の肝いりで始めたPMFにかける情熱と、生涯愛していたシューマンの2番に対する想いが伝わってきますし、もしかしたら癌で死期を悟っていたとすれば、指揮台の上で倒れても本望だったかも知れません。一方でカラヤンは本当に突然死でしたので、最期の録音となるブルックナー7番も本人にとっては普段と変わりない演奏だったかも知れません。しかし、私が聴く限り7番はカラヤン最期の録音に相応しい曲目で、特に最終楽章の美しく崇高な演奏は“帝王”の生き様を堂々と語りかけているように聴こえます。やはり巨匠の“白鳥の歌”は格別でいつ聴いても胸が熱くなります。バーンスタイン&カラヤン.JPG (54 KB)


モンテカルロを譲って頂きました

2017-12-30 13:10:29投稿

先日、幸運にも出雲のバイク専門店ベストオートさまのHPに辿り着き、大変貴重な自転車 ブリヂストン “モンテカルロ”を発見してしまいました!小学生の頃に一世を風靡したジュニアスポーツ自転車の代表格で、私も多分乗っていたはずなのですが、開業してドタバタしていた7年前に実家を売却してしまったため、物置にしまわれていたかも知れない自転車はそれきりとなっていました。勿論40年近く前のモノですから、残っていたところで錆だらけで整備の限界を超えていたはずですが、今回は何と“新品未使用”という信じられない状態(当時の値札や取説、ロット番号、カタログまで完備!)でした。スーパーカー風のダブルヘッドライトとホリゾンタルフレームに鎮座したAT車のグリップ形状のシフトレバーが何ともバブリーで、昭和の明るい時代を反映させたギミックな自転車です。

私達の小学生時代では、移動手段として必要不可欠なモノだったのですが、他にもスピードメーターや電子フラッシャーなど無用なモノが多く(あの頃は文房具や筆箱もギミックになり過ぎていたのですが、こちらはすぐにブームは去りました…何しろ使いづらいというのが理由)、作っている大人達も遊び心に溢れていた気がします。それでもこの自転車の最大の難点は変速中にチェーンがすぐに外れることで、手を油だらけにしながら泣かされ続けた日々が懐かしく想い出されます。

今回、ベストオートの大森さまが大切に保管されていた(売り物ではなく、ほぼ展示用として)貴重な自転車を、“大事にしてもらえるのなら”と快く譲って頂いたことに言葉で言い表せないほど感謝しています。今年は色々と辛い事ばかりの一年で正直絶望していた時期もありましたが、最後にこのような素晴らしいご縁(モンテカルロと大森さま)があったことで報われた気がしました。 


青い女の子

2016-08-29 22:30:00投稿

先日、山口市中央にあるギャラリーナカノさんの展覧会を見に行って来ました。私自身は絵画とは全く無縁で、小学校低学年の時に授業で旧サビエル教会を描いて、山口市の佳作に選ばれたのがピークだった気がします。今では仕事柄、眼のシェーマは毎日描きますが、省略しすぎて酷いモノです。外出が苦手な私にとってはハードルが高いものでしたが、以前から知り合いの方に誘われていて、しかもフェイスブックの言葉が心に響いていたこともあって一度は行ってみようと思い立ちました。

私のような絵画知識ゼロの素人にとって、ギャラリーという空間に入るのはかなり場違い感があったのですが、実際は中野さんの優しいお心遣いのお蔭で有意義な時間を過ごすことが出来ました。そして自分でも不思議なことに展示されてあった青い女の子の絵に、強く心を惹きつけられました。言葉では上手く表現出来ませんが、青い色に憂いを秘めていて懐かしさや寂しさがあり、私の心を優しく包み込んでくれるような絵でした。絵画でそのような気持ちになったのは初めての経験で、もっと早く来れば良かったと後悔したほどです。

ところで、芸術を味わうために視覚や聴覚など医学の果たす役割は大きいと思いますが、臨床医の場合は研究医と異なり先人の知恵で仕事をさせてもらっているだけで、そこに芸術家のような創造性はありません。世間を賑わせている”神の手を持つ医師”とは、”神”というより解剖を頭に叩き込んで熟練と工夫を凝らした人間であって、未来ではロボットにとって代わられているかも知れません。個人的には“何かを創作すること”こそ人類の最も偉大な活動だと思っています。


院長が園遊会に招待されました!

2013-10-02 22:59:27投稿

院長が、天皇皇后両陛下より栄えある園遊会へのお招きを賜りました。これまでに山口市医師会や 山口陸上競技協会の会長(現職)などを歴任し、地域社会への貢献を過分に御評価下さったのだと 大変恐縮しております。

家族や当院スタッフ一同大変喜んでおりますが、亡き母と夫婦そろって赤坂御苑に参ることが出来れば、どんなに幸せだったかと考えてしまう自分がいます。私は眼科の患者様の診療予約が入っているため上京致しませんが、きっと母の御霊は父と共にあるでしょうから、両親の想いが詰まったこの  “ 斉藤外科眼科 ” の地で留守をしっかり全うしたいと思います。

 

 “父にありがとう、母にさようなら、そして天皇陛下万歳!!”


誓いの明日

2012-11-10 22:55:13投稿

1年程前より右上奥歯の歯肉炎が月一回の頻度で起こっていて、抗生剤内服で対処していましたが、半年前には右上顎洞付近の痛みも感じました。そこで歯性上顎洞炎の可能性を考えて当院でX線を撮り、歯科や耳鼻科で診察を受けましたが “異常無し” との診断でした。

10月中旬より、同部位の知覚過敏が起こって鎮痛剤が手放せなくなったため、もう一度歯科で精査を受けました。一度は歯に薬を塗布して様子を見ることになりましたが、効果はありませんでした。そこで第二小臼歯のクラウンを外すことになったのですが、第一大臼歯のクラウンと癒着していたため両方を外したところ、何と第一大臼歯はクラウンの中に汚れがぎっしり詰まっていて手遅れの状態でした。そして止む無く抜歯となりました…。

私は、大の歯磨き好きで、フロスや歯間ブラシも駆使して歯をケアして来ました。それが、このような結果になり大変落胆しています。確かに、クラウンですっぽり覆われた歯の中は肉眼では判らないし、X線の診断にも限界があります。だからといって簡単にクラウンを外すことは、無駄な侵襲を加えるリスクがあるのも理解出来ます。しかし、 “異常無し” と断言せずに、クラウンの中に異常がある可能性を説明することが必要だったのではないでしょうか?

開業医の使命は、限られた時間と設備の中で、如何に見落としの無い診察をするかということです。眼科では、若くて瞳孔の大きい人であれば眼底周辺部まで診ることが出来ますが、高齢で瞳孔が小さく白内障が強くて眼底が見えにくい場合は、異常を見落とす可能性があります。つまり、眼科医が診断を下す際には、いかに直接組織が見える状況に持ち込むかが重要であって、それが出来ない状況であればその旨を患者さんに説明すべきなのです。もちろん、視力低下以外の症状で受診される患者さんは気にされない方も多いのは事実ですが、大切なことは “状況を説明すること” だと思います。

ある患者さんは初診時に水晶体皮質混濁が強くて眼底が見えにくい状態でした。そのため散瞳をして眼底精査を行いましたが、視神経に緑内障性変化が疑われました。結局、視野検査で明らかな視野狭窄を認めたため、正常眼圧緑内障として点眼治療を開始したのですが、その数日後に “今まで緑内障の緑の字も言われた事が無いのに、眼圧が高いと言われ、視野の検査までされて不安を煽って、おたくは”病気を捏造する医者か!“ と長々と電話でお叱りを受けました。

このように、良かれと思って精査をしても逆ギレをされて、悪い噂を流されるリスクもあります。それでも今回私自身が歯を失ってみて、説明の大切さを痛感したため、これまで以上に一人一人の患者さんに時間をかけて説明していこうと心に誓いました。そして患者さんが多すぎる眼科では、歯科の場合と同様に患者さんに十分な説明が出来ないことは明明白白ですから、そこを選ぶメリットを私は見出すことが出来ないのも事実です。


扁桃摘出術を受けてきました

2012-09-16 14:59:07投稿

9 月 10 日に済生会山口総合病院耳鼻咽喉科で、両口蓋扁桃摘出術を受けました。9 月 15 日に退院し、今は術後の自宅安静中です。以前より扁桃がよく腫れていましたが、最近はちょっと喋っただけでも発熱し咳が長引くというパターンを繰り返し、日常の診察に支障を来していました。眼科を 1 週間休診にすることに躊躇しましたが、今後の事を考えて手術を決断しました。

初めての入院、全身麻酔、そして手術だったため緊張しましたが、麻酔は導入から覚醒まで気持ち良く眠っていましたし、術後の痛みも想定内でした。また、病棟、術場そして外来のスタッフが皆さん親切だったことが、入院生活の不安を和らげてくれました。

日頃とは逆の患者という立場で 5 泊 6 日の入院生活を送りましたが、“何が病院側に求められているのか” を真剣に考える良い機会となりました。また、主治医の豊田先生には非常に良くして頂き、同じ医師として見習わなければならない部分が多々見つかりました。

連休明けの 9 月 18 日より眼科診療を再開致します。現在、術後 6 日目で痛みや違和感により食事は勿論、声を出すのが辛い状態ですが、しっかり安静にして良い状態で診療に復帰したいと考えています。当科かかりつけの患者さまには、長期休診により大変ご迷惑をおかけしたことを深くお詫び致します。


古き良き山口市への郷愁

2012-08-22 21:15:02投稿

山口市の “C・S赤レンガ” が 1992 年に開館してから、今年で 20 周年になるそうです。もともと県立図書館の書庫だった建物は、確か “アトリエ・ロフト” とかいうアトリエ教室(名前は間違っているかもしれません)をやっていて、小学生の時に親友と通っていました。その頃の旧赤レンガは、外壁を不気味な蔦で覆われて内部も薄暗く、まるで幽霊屋敷のような建物でしたが、怖いもの知らずの小学生にとっては格好の遊び場でした。

思えば、山口市の後河原地区も随分綺麗になりました。以前はその赤レンガはありましたが、一の坂川は今ほど整備されておらず、源氏蛍もほとんどいなかったと記憶しています。その後に山口市が景観地区として力を入れて、今では人気の蛍スポットとなりました。一方で、パークロードから駅通りに繋がる早間田交差点は、以前は山口市でもっとも賑やかな場所の一つで、私がスパルタ英語塾 “中央セミナー” に通っていた中学生の頃は、バブル景気に湧き、テナントは満室でグリーンパークも入っていました。その後は急速に景気が悪くなり、消費者金融がテナントを占める時代が続き、今は空室の目立つテナントの中で学習塾が頑張っている状況です。今回、一の坂川沿いの再開発が早間田地区まで南下したため、少しでも人通りが多くなることを期待しています。

そういえば、米屋町の “ちまきや” がリニューアルする前は、屋上遊園地があって子供用の “弓矢” が置いてあり、矢が的までなかなか届かなかった記憶があります。その “ちまきや” の数軒隣に “アルビ” という若者向けのデパート?があって、当初は “ガンプラ” 、その後は “ファミコン” コーナーが小学生から絶大な人気がありました。また道場門前の “ダイエー” では、屋上遊園地で割り箸を使って作る綿菓子や、一階入口付近にあった軽食屋で焼きそばを食べるのが楽しみでした。残念ながら、これらのお店は随分前に姿を消してしまいました。

今でも生まれ故郷で生活が出来ることは恵まれたことかも知れませんが、絶えず変わっていく山口の風景に寂しさを感じるのも事実です。私が ”大分むぎ焼酎二階堂” の CM に心惹かれるのは、楽しかった昭和への郷愁だけでなく、少年時代の “純粋な自分” を想い出させてくれるからです。そして “昭和” も “少年時代” も二度と戻って来ないのが判っているのに、どうしても振り返らずにはいられないのは、人生の折り返し地点に差しかかったにも関わらず、なお“日暮れて道遠し”という自分の現状を嘆き、“もう一度少年時代から人生をやり直したい“ と心の底から願っているからだと思います。


You Tube の魅力

2012-06-22 23:44:16投稿

私は中高時代に勉強をろくにせず、チェッカーズ、アルフィーそして小泉今日子にはまっていました。常に頭の中は好きなメロディーが流れていて、授業中に一番前の席だったにも拘わらずノートもとらずにボーっとしていて“ノートくらいとれ、馬鹿!”と先生から怒鳴られたこともありました。帰宅してからも、LP や CD からカセットテープに編集して、自分で聴いたり友人に貸したりするのがささやかな楽しみでした。

小泉はファンクラブに入るくらい好きでしたが、主演した映画のうち 2 作品に高見沢が楽曲を提供しています(“木枯らしに抱かれて”は有名なところです)。小泉もアルフィーも好きだった私にとっては、二人のコラボという時点で本当に堪らない曲でした。

小泉の楽曲で一番好きだったのが映画“生徒諸君!”の挿入歌である “The Stardust memory” でした。そして今夜、ついに You Tube で高見沢のデモバージョンに辿りつくことが出来ました!さすがにデモのためメロディーや歌詞が多少違うのですが、そこがまた素晴らしいのです。もともと好きな曲のカバーやインストルメントを聴くのが好きでしたが、今回は“原曲のデモ”を高見沢が歌ってくれているので興奮して震えがきました。この動画は現時点で再生回数が 2599 なので、私のようなマニアしか聴いていないかも知れませんが、それでも私と同じような気持ちの方がいるかと思うと嬉しい気持ちになりますし、とにかく公開してくれた方には本当に感謝しています。

You Tube は著作権の問題にからんでギリギリのところで公開されているので、いつ消されても文句は言えません。しかし音楽というものは、丁度 “Carpenters” の “Yesterday Once More” の歌詞に出てくるように、聴く人を懐かしい“あの頃”に一瞬でタイプトリップさせてくれる魔法をもっています。もちろん、自分で DVD の購入やダウンロードをすれば済むと言われるかも知れませんが、You Tube の本当の魅力は、市販されていない貴重な場面、例えばベストテンや夜のヒットスタジオから懐かしい CM までも網羅されているところです。昔はもっぱら VHS のビデオで録画していたため撮り忘れなどもあって、デジタル化された今のように保存が容易ではなかったはずです(もちろん画像や音質が劣化もします)。かさばる VHS を長い期間大切に保存する大変さを考えれば、それを他の人と共有したくなる気持ちは理解出来ますし、公開してくれることでコメント欄を見ると実際に多くの人を幸せにしていると思います。

私の You Tube 巡りの旅は、新しい動画との出会いとお気に入りの動画との突然の別れを繰り返しながら、今後も続いていくことでしょう。


白石小学校よ永遠なれ!

2012-06-06 19:02:42投稿

4月末から毎週水曜午後は学校検診で各校を回っていましたが、本日は今年度から学校医に就任した山口市立白石小学校(白小)に行ってきました。白小は我が母校で約30年ぶりの訪問となるため、校長先生にお願いして検診後に校舎内を見学させて頂きました。

当然大部分の校舎は建て替わっていて、当時の新校舎と体育館が辛うじて残っているだけでした。それでも中庭にあった小さな池が残っていたり、別の教室として使用されている当時の音楽室の内装に面影が残っていたりと、所々に懐かしいものを見つけることが出来ました。

肝腎の検診は、各先生方の協力のおかげでスムースに行うことが出来ました。こういう時は各担任の資質が垣間見られるので、“この先生が担任なら楽しいだろうな”とか“この先生だと息苦しいかな”とか勝手に想像が膨らみます。そして検診中一番のサプライズは、小学生時代の同級生とそっくりな顔立ちの児童がいて、確認するとやっぱり彼の子供達だったことでした。

私の人生で最も幸せだった日々は小学生時代でしたから、それ以外の母校である附属中学や山口高校、長崎大学と比べて白小には強い愛着があります。それでも池田小の事件以来、小学校に自由に入ることが出来なくなったため、長年の念願がようやく叶ったことになります。今後は校医として、あるいはイチOBとして少しでも貢献出来たら幸せです。

最後に、お忙しい中わざわざ校内を案内し、色々と教えて頂いた校長先生にお礼申し上げます。


山口市医師会会長退任

2012-04-01 01:43:06投稿

 

昨夜をもって当院院長が、山口市医師会会長を退任しました。在任中は、山口市小児救急医療の体制作りを柱とする地域医療の充実、さらに無駄な経費の削減といった改革を断行してきたため、大変な苦労があったと思います。そこで4年前の会長就任時に続いて、今回も院長を慰労する目的でささやかなパーティーを企画しました。

初めは “やごや” でコース料理を頂いたのですが、院内のスタッフが “バカラ” のワイングラスを名前入りでプレゼントしてくれたり、お店側が最後のデザートでサプライズを用意してくれたりと、院長は終始ご機嫌でした。さらに、二次会では “奈加” のオーナーママが高級ワインをプレゼントしてくれて、大変盛り上がりました。

今後は医師会に新設された参事のポストに就き、山口市とのパイプ役を担うそうです。また、しばらく休止していた山口ライオンズクラブの活動も再開するそうで、結局はあれやこれやと忙しい生活を送るつもりのようです。正直、16年もの間役職についていた医師会を退任することでバーンアウトを心配していましたが、本人は暇になるつもりはないようなので一先ず安心したところです。ただ、引き続き外食の機会が多くなると予想されるため、くれぐれも健康には気をつけてもらいたいと思います。

 


いよいよ山口市民文化大学開講!

2012-03-18 17:09:57投稿

先日、第2回山口市民文化大学の講演会に行って来ました。市民会館へ入るのは、山口大学の医局員として2000年に日本コンタクトレンズ学会を主催した時以来でした。

講師は作家の浅田 次郎先生でしたが、明治維新の革命(混乱)をユーモアたっぷりの内容で教えて頂きました。腰椎椎間板ヘルニアが発症して2週間安静にしていた私にとって、90分間同じ姿勢をとることに不安がありましたが、時間の経つのを忘れるくらい楽しめました。

しかし、祖父が経験した太平洋戦争の終戦が67年前という事を考えると、145年前に終わった江戸時代は、遠い昔では無いという事は指摘されるまで気付きませんでした。また現在の日米同盟の基礎は、ペリー来航による日米和親条約であり、決して戦後のGHQ統治や日米安保条約では無いという事も納得させられました。

もともと家族の影響で歴史が好きだった私ですが、高校からは世界史一辺倒だったので、日本の近代史については無知でした。先人達の努力の上に我が国が存在するのは理解していましたが、自分の祖父母位のそんなに遠くない身内が経験した近代史こそ重要で、浅田先生が言われる通り、十分時間を割いて教育をされるべきだと思いました。

この山口市民文化大学は、次回は清水寺貫主の森 清範先生、その後は櫻井 よしこ先生、羽生 善治先生と興味深い講演が続き、医療のことしか知らない私にとっては絶好の勉強の機会です。今回も会場はほぼ満員でしたが、30代以下の若い人は少なかったように感じます。土曜日の午後と比較的時間を取りやすく設定されているので、是非若い年代が聴いて欲しいところです。浅田先生大変貴重な講演有難うございました。


目の付けどころがシャープなはずが…

2012-02-01 21:48:06投稿

本日、シャープの第3四半期決算が発表されました。今年度の最終損益が2900億円の赤字で、これはアナリストのコンセンサスをはるかに超える過去最大の赤字幅でした。このニュースはネガティブサプライズとしてネット上を駆け巡り、明日株価は大幅下落する可能性が高いと考えます(将来の見通しが暗いことが問題で、さすがに悪材料出尽くしはないでしょう…)。

今回の赤字の要因として、液晶パネルの外販や自社液晶テレビ“AQUOS”の販売低迷が挙げられます。さらに、せっかく自然エネルギーの先駆けとして開発していた太陽電池の販売も低調に終わってしまいました。その背景として当然ユーロ危機と円高がありますが、たまらず主力の堺工場の稼働率を50%に減産させるそうです。このままでは“世界の亀山ブランド”で名をはせた亀山工場の一部閉鎖に続き、国内の拠点工場が次々と閉鎖に追い込まれ、国内の雇用はさらに悪化して“負のスパイラル”へ陥る可能性があります。

もともと国土や資源に乏しい日本を、世界第3位の経済大国に押し上げたのは、“ものづくり”です。しかしシャープの決算を受けて、これから予定されているパナソニックやソニーといった家電メーカーの決算も警戒されるところで、このままでは多少の“復興需要”があっても、それを押しつぶす円高で日本の製造業は崩壊の危機にあります。ドイツがユーロ安で一人勝ちし(もちろん、PIIGSのせいで足を引っ張られていますが)、アメリカもリーマンショックの反省から“ものづくり”への原点回帰を考えて意図的にドル安を誘導している中、いつまでも政治が何も決められない“会議が踊っている”日本に果たして明るい未来があるのでしょうか?

ちなみに私は、家電の中でシャープのテレビ、携帯電話、電子レンジ、エアコンを愛用し、それ以外も東芝、キャノン、パナソニックといった国産製品にこだわっています。これは、“Made in Japan”に対する信頼感が第一の理由ですが、多少値段が高くても国産メーカーの売り上げに貢献したいという側面もあります。原発事故後の風評被害に苦しむ農家を救うために福島県産野菜を買い求めたように、今こそ国産メーカーの製品を率先して購入する気持ちがあってもよいと思っています。


スーパーボウルへの道

2012-01-08 18:10:00投稿

いよいよNFLのプレーオフが始まりました。AFCは第一シードのニューイングランド・ペイトリオッツと第二シードのボルチモア・レイブンズが、そしてNFCでは第一シードのグリーンベイ・パッカーズと第三シードのニューオーリンズ・セインツが残り、スーパーボウルはペイトリオッツとセインツの戦いになると予想しています。

私がNFLに興味を持ち始めた大学生の頃は、NFCのサンフランシスコ・47ersとダラス・カウボーイズが圧倒的に強く、多くのブロボウラーを要した47ersを応援していました。しかしQBスティーブ・ヤングは脳震盪に悩まされていて、さらに史上最高のWRジェリー・ライスが悪質なタックルで膝を故障してからは、スーパーボウルの舞台に帰ってくることはありませんでした。

ところが今季の49ersは開幕前の予想に反して快進撃を続け、17年ぶりのスーパーボウル出場が期待されるところです。しかし、昨季覚醒したスーパーボウルMVPのQBロジャースが、大きな壁として立ちはだかるのは間違いありません。くしくも、49ersに引導を渡したのがパッカーズの鉄人QBブレッド・ファーブで、今度はファーブを継いだロジャースに新生49ersが挑むという両チームの因縁を感じています。
 


マネーゲームの罪

2011-10-15 23:39:51投稿

ニューヨークのウォール街では、若者を中心としたデモが続いています。彼らは1%の富裕層への増税など社会格差の是正を求めており、これにはリーマンショック後の景気の低迷で苦しむ人々の、その原因を作ったにも関わらず救済された大手金融機関や政府に対する根強い反感が現れています。

一方、今週はEFSF(欧州通貨安定化基金)の拡充や銀行の資本増強、そしてギリシャ向け第6次融資の目途が立ったことから欧米の株価は大幅に上昇しました。ところが肝心のギリシャでは、財政健全化に向かうどころか逆に大規模なゼネストが起こり、混乱は増すばかりで、誰が見てもデフォルトは不可避の状況です。つまり、ファンダメンタルには何も改善していないにも関わらず、テクニカルな要因だけで何かと都合良くネタを見つけて株価を吊り上げているのです。悲しいことに、ヘッジファンドを含む大手金融機関は実態経済などどうでもよく、自分達の利益が出るように株価を操作することが大切なのです。そして、このマネーゲームのツケは必ず99%の人々にも回ってくるのです。

先日、臨床眼科学会に参加するために久しぶりに東京に行きましたが、銀座は以前より人通りが少ない印象を受けました。これは原発事故の影響で海外や地方からの旅行客が少ないことだけでなく、ここにきて既定路線となりつつある増税が国民の先行きに対する不安を増長し、購買意欲を低下させているのかも知れません。そんな活気の無い銀座において、一番人が集まっていたのはアップル直営店で、10月5日に亡くなった故スティーブ・ショブス氏への献花に訪れる人が後を絶ちませんでした。彼は無論億万長者でしたが、“世界を変えたい”という夢に向かってひたすら仕事に励んでおり、お金には執着していませんでした(実際アップル社に復帰した際の給料は年1ドルでした)。もちろん、社内では色々と確執がありましたが、あくまで理想の仕事をするためのもので、私腹を肥やすためのものではありませんでした。こういう時代だからこそ、彼が残した”Stay hungry, stay foolish.”という言葉の意味を、政治家や金融業界の人達に考えてもらいたいものです。


総理大臣の資質

2011-09-23 10:59:21投稿

以前に福田康夫元総理が退陣表明会見で“私は自分自身を客観的に見ることは出来るんです。あなたとは違うんです。”と発言して話題となりました。官房長官になった頃より手腕を注目されていましたが、年金未納問題が発覚するとその地位に固執することなく辞任し、その後は最高権力者である内閣総理大臣に任命されましたが、上述のセリフを残してあっさりと辞めてしまいました。

一般的に、自分自身を客観的に見つめることが出来れば、大多数の人は自身が大将の器ではないことが容易に分かるはずです。福田元総理は当初政治家になるつもりはなくサラリーマンの道を歩んでおり、後継ぎの事情で遅れて政界入りして総理大臣になりました。どんな状況でもその座に留まって事を成す信念(もしくは執念)に欠けていること(その善し悪しは別として)を自覚していたのかも知れません。

実際、閣僚でさえ十分に務まらない人が多い中で、果たして総理大臣の資質を備えた議員が何人いるのでしょうか?いくら“地位が人を作る”といってもさすがに総理大臣を任せるのは無理があると思います。近年は“陰の総理大臣”や“キングメーカー”という言葉が登場し、自分達の都合で簡単に総理をすり替えようとする議員がいるようですが、そんなことだから日本の政治はいつまでも海外から馬鹿にされ、それが日本の国益を損ねる結果に直結しているのです。政治家は利害関係に囚われずに、自分達の負っている責任の重さをもっと自覚するべきです。

先日、安部元総理とお会いする機会がありました。隣でお話を伺っていましたが、“総理大臣経験者”としてではなく“総理大臣候補者”としてのオーラが伝わって来ました。前回は体調の問題で已むなく退陣されましたが、今は体調も回復されており、もう一度総理大臣となって日本の窮地を救って欲しいと個人的には思います。ただし、政界再編により機能的な政治システムが構築されなければ、どの政党が政権を取ったとしても運営が行き詰まる可能性が高く、これは強いリーダーシップを持ち合わせているはずのオバマ大統領でさえ、上下院のねじれ現象により政策が進まず苦労している現状を見れば一目瞭然でしょう。
 


株雑感

2011-09-03 19:50:02投稿

アメリカの株価は昨年のギリシャショックで調整したものの、リーマンショックの底値から今夏まで上昇していました。その間もアメリカでは失業率の高止まりなど景気は決して改善しておらず、ギリシャ問題も棚上げの状態でしたが、FRB(連邦準備制度理事会)が量的金融緩和措置(QE2)を行い市場にドルが溢れる状態にしたため、“享楽的”な株価の上昇が起こりました。それでも非現実的な株価上昇は続くはずもなく、債務上限引き上げ問題がなかなか決着しなかったことを契機に7月末より突如下落が始まりました。その後8月2日の期限間際に辛うじてデフォルトを回避したものの、財務健全化に向けての赤字削減目標額が少なすぎるとの見解から、8月5日にS&Pが米国債の格付けを引き下げ、遂に世界同時株安が起こりました。一旦8月26日のバーナンキFRB議長のジャクソンホール講演を受けて、追加緩和策への期待が高まり落ち着きを取り戻すかに見えましたが、昨夜9月2日の欧米株式市場は、NYダウが-2.20%、DAXが-3.36%、FTSE100が-2.34%と再び暴落してしまいました。

昨夜の株価暴落の材料としては、米8月雇用統計が予想以上に悪かったこと、米当局がサブプライム問題に関与した大手金融機関(バンカメ、シティグループなど)を提訴したこと、そしてギリシャ金融支援の担保問題などが挙げられます。来週はオバマ大統領の講演を控えており、雇用創出のための政策に期待が集まるところですが、米議会のねじれ現象により有効な政策が本当に実行出来るのかも疑わしく、市場は引き続き波乱含みになりそうです。

ところで株価は常に“先読み”の原理で動いている性格上、“まだ見ぬ未来”に対する期待や不安といった市場の“想像力”に影響を受けてしまいます。そのため、企業の決算が良かったとしてもその内容が“期待程では無かった”場合には下落するのは勿論、今後の見通しがコンセンサスよりも良かったかどうかが最も重視されます。ただし、好決算であっても素直に好感されず“織り込み済み”として下落したり、悪い内容であっても“悪材料出尽くし”として上昇したりと、市場の“解釈”は難解です。

共働きの両親の元、小学校が夏休みで私と兄だけの時には、大阪在住だった祖父が孫の世話のため山口市まで来てくれていました。その祖父はよく短波放送を聞いていて、時々“お祖父ちゃん居ますか?”と証券会社から電話もあり、“株は絶対損をするから、やらないほうが良い”と言っていたのを覚えています。確かにその頃は日経新聞や証券会社からの情報を頼りに取引をしていたため、最新で質の高い情報を得ることが困難で、株は素人が手を出してはいけない“危険なもの”だったと思います(ちなみに昔の日本人にとって“株”は“人生ゲーム”くらいしか接する機会が無く、子供の頃から違和感なくゲーム等で接しているアメリカ人とは、その後大人になってからの親近感に差が出るのも当然でしょう)。現在はインターネットの普及のおかげで、リアルタイムで情報を得てオンラインで素早く取引が出来るだけでなく、手数料が大幅に安くなったため投資を行う人口が増えたのは事実です。それでも個人投資家の大部分が損をしていることから、相場操縦(見せ玉など)やインサイダー取引などの不正を行わない限りコンスタントに利益を上げるのは困難なようで、超低金利政策下で定期預金が意味をなさない日本においては、“タンス預金”が増えても仕方のないことかも知れません。


当然の道理

2011-05-08 10:42:15投稿

リチャード・ギア主演の映画“愛と青春の旅立ち”では、海軍航空士官養成学校の主人公メイヨと親友のシドが、製紙工場で働く女工ポーラやリネットと知り合います。彼女達は海軍航空士官と結婚する目的で二人に近づきますが、ポーラはそのうちメイヨという人間そのものに惹かれていきます。一方リネットはあくまで冷静で、結婚を確実なものにするためにシドに“妊娠した”と嘘をつきます。純朴なシドはリネットの言葉を信じたのと同時に、“海軍航空士官になることよりも、愛する人と実家の農場で生活する人生のほうが遥かにすばらしい“と考え自主退学してしまいます。そして婚約指輪を持って彼女の元に走った彼は“私は海軍航空士官と結婚して世界中の港を回るのが夢だったの!田舎の農夫なら足りているの!卒業間近で退学するなんて馬鹿よ!”という言葉を突き付けられ自殺してしまいます。

斉の孟嘗君は、“鶏鳴狗盗”のエピソードでも有名な食客三千人を抱えていました。食客達を集めるには多額のお金や地位が必要でしたが、孟嘗君が斉の宰相の地位を解任された際に彼らは去って行きました。幸い、一人残った食客の馮煖(ふうかん)のおかげで宰相に返り咲いた孟嘗君でしたが、馮煖が“去った食客達を呼び戻して欲しい”と頼んだところ、“自分が失職した瞬間に去って行った食客達は、どんな顔で戻って来られるのか?唾を吐いてやりたい!”と激怒しました。それに対して馮煖は“生あるものは必ず死にます。これは”必然の道理“です。一方で富貴な身では人が集まり、貧乏になれば交友が乏しくなります。これは”当然の道理“です。市場でも朝は人で溢れていますが、日暮れにはまばらになります。これは市場に求めるものが無くなるからで、人々が市場に対して好悪の情がある訳ではありません。食客達が去った理由も、単に求めるものが無くなったからで怨むべきではありません”と諫めました。

確かに、退職したとたんに交友関係が途絶えて一気に孤独になったり、セレブな青年実業家が事業に失敗した途端に“金の切れ目が縁の切れ目”と離婚されたりすることがあり、これらは馮煖が言うように“当然の道理”かも知れません。しかし、燕の楽毅(がっき)が恵王に宛てた書簡や、諸葛亮の“出師表”が読む人の心を激しく揺さぶるのは、ドライな感覚の“道理”を超えて本当は皆が”こうありたい”と願う“忠義心”がにじみ出ているからでしょう。そして”愛と青春の旅立ち”の最後でメイヨがポーラを迎えに行くシーンが感動を呼ぶのは、残念ながら多くの結婚が”道理”に基づいて成立している現実があるからだと思います。


オサマ・ビンラディン

2011-05-03 11:25:21投稿

昨日アメリカのオバマ大統領が緊急の記者会見を開き、オサマ・ビンラディンを殺害したと発表しました。ビンラディンは9.11アメリカ同時多発テロ事件を起こした首謀者として国際指名手配されていましたが、アメリカとしては事件から10年の歳月が経ってようやく成果を挙げたことになります。

9.11テロを当時テレビの生中継を見ていた私(ちょうど10月に学会でニューオリンズに行く予定がありましたし、兄がニュージャージーに留学中でした)は、ひどく動揺しテロ組織への怒りを感じたのを覚えています。しかし時間が経ってから当時の状況を振り返ると、あまりに簡単に全壊した世界貿易センタービルや不自然な壊れ方のペンタゴン、そしてブッシュやラムズフェルトのぎこちない態度に何か違和感を覚えます。

そもそも9.11テロの首謀者がビンラディンなら、犯行に関係の無いイラクを何故急いで攻撃しなければならなかったのか疑問が残ります。アメリカ本土を初めて攻撃されたことにショックを感じていた国民に対して“大量破壊兵器を持っているから先制攻撃をしなければならない”と四六時中メディアぐるみで煽れば、誰でも不安になり戦争を容認することでしょう。しかし多くの犠牲者を出したにも関わらずイラクには大量破壊兵器は存在せず、一部の利益のために戦争を起こす必要があったかのようにも思えます。

イラク戦争ではフセイン前大統領の身柄を拘束し軍事裁判で裁きましたが、今回ビンラディンの身柄は拘束せず殺害してしまいました。その後遺体のDNA鑑定を行い本人であることを確認したため水葬したとのことで、本人の写真などは公開されていません。国内のニュースでは9.11テロで御家族を無くした男性が、“出来れば裁判で本人の話を聞きたかった”とコメントしていましたが、世界中の多くの人が同じ気持ちだったかも知れません。つまり本当にビンラディンが9.11テロを起こしたのか、そしてビンラディン自体が実在の人物なのかも含めて、本人が消された今となっては9.11テロの真相が永久に闇の中になってしまったということです。


東京電力の今後

2011-04-24 19:18:24投稿

東京電力の今後については、震災直後こそ国有化の噂がありましたが、今のところ公的資金の注入で落ち着く可能性が高くなっています。東京電力の社債は日本国債よりも信用力が高く、安全資産として約5兆円もの発行数を誇ります。一方でディフェンシブ銘柄の王様であった株式は、株価が2200円台から400円台まで急落し、多くの株主は投げ売りしたことでしょう。しかし不思議なことに株主は自己責任なので救済の必要はない(高配当で十分儲けたはずだから?)が、国有化で社債が紙くずになるのは国際的な信用に関わるとの理由で反対する人が少なくありません。

ところで、金融業界では金融機関が破綻した場合に混乱を避ける目的で、1000万円を限度に貯金が保護されるペイオフ制度があります。昨年に郵政改革の一端として当時の亀井大臣が、ゆうちょ銀行の貯金限度額を2000万円まで引き上げることを公言し、地銀、信金などから猛反対されたことありました。これは民営化したとはいえ政府保証のあるゆうちょ銀行の貯金限度額が上がれば、1000万円までしか保護されない民間の金融機関が不利になるという理由でした。

しかしながら、初めてペイオフの対象となった日本振興銀行のような怪しい銀行でなければ、メガバンクだけでなく地銀であってもその地域経済に混乱を来すはずなので、多くの金融機関も結局は公的資金により守られるのではないか、という疑念が浮かびます。しかも、アメリカではリーマンショック後にゴールドマンサックスなど大手金融機関は公的資金注入により救済されたにも関わらず、最近では社員が平気な顔で高額の報酬をもらっているので、メガバンクの職員は高を括っているかも知れません。

今後の東京電力の公的資金返済は、電気料金の値上げによってまかなわれるのは間違いありません。ところが、東京電力はこれまで規制緩和を反対して電力市場を独占してきたため、管轄区内の人達が他の電力会社に乗り換えることは出来ません。したがって生活に直結する金融機関や電力やガスといった企業は、市場における占有率を制限するなどの規制が必要で、そうでなければ今後も“潰したくても潰せない企業”(同時に天下り天国でもある?)が好き勝手に経営をして破産しても、最終的には我々国民が税金で救済することになってしまいます。


日本人の民度

2011-03-30 19:01:00投稿

世界中のメディアが今回の震災を報道してきましたが、被害の状況とともに“日本人の民度の高さ”を賞賛する論調が見られました。例えば、被災者同士が食物を分け合ったり、列を乱さずに配給を待ったり、避難所でただじっと耐え忍んでいる様子などが伝えられましたが、中でも“略奪が起こらなかった”という報道が最も世界を驚かせたようです。

ところが、実際には被災地で火事場泥棒が多発しており、金庫から現金を奪ったり、商店の商品を奪ったり、ガソリンを抜き取ったり、さらには御遺体の身につけている装身具を奪う者もいたようです。報道によれば、現時点で震災後の窃盗は288件、被害総額は約1億円にものぼるそうです。

春秋時代に斉の管仲は“倉廩満ちて礼節を知り、衣食足りて栄辱を知る”と説いています。これは“ヒトは誰でも食べもの、着るものが無ければ礼儀や自尊心は芽生えない“という意味で、私は芥川龍之介の小説”羅生門“の情景が思い浮かぶことがあります。”羅生門“では、飢饉が続いて荒廃した京の町で、死体の毛髪を抜いて生き延びようとしている老婆と、その行為を見て始めは怒りを覚えていた下人が、最後には”生きるためには略奪は正当である“と老婆から着物を奪う様子が描かれています。

いくら民度の高い日本人であっても、長い歴史の中で大きな危機に直面した場合には、このような心理状況になってしまうものでしょうか?ある被災地では、“私は戦時下で空襲にも耐えてきたのだから、大丈夫です”と気丈に答える高齢の女性がいました。大部分の日本人が耐え忍び助け合って頑張っている中で、一部の心ない人間がいることが残念でなりませんが、同時にそのような人間の数が相対的に少ないのであれば、やはりそれは世界に誇れることだと思います。


東北地方太平洋沖地震

2011-03-15 17:18:51投稿

東北地方太平洋沖地震が起こってから4日が経ちました。地震や津波が“想定外”の規模であったため、報道によると1万人を超える方々の生存が確認出来ないとのことです。山口市からは遠い地域の災害のため、現時点で交通や生活に支障が出ていないのは事実ですが、テレビで流される情報を見ると改めて天災の恐ろしさと人生の儚さを思い知らされます。ここに、亡くなられた方々のご冥福をお祈りするとともに、被災された方々に対しまして心よりお見舞い申し上げます。

今回の地震では広範囲の被害が出たため人命救助や被災者への支援が滞っていますが、福島原発からの放射性物質の漏出がそれらの活動を多大に妨げています。しかも放射能汚染は被災地だけでなく、首都東京を含めて日本列島に甚大な被害を及ぼす可能性があるため、日本国内はもとより全世界の人々が関心を寄せています。しかしながら、今回の政府および東京電力の対応は、情報の開示も含めて納得のいくものではありません。

以前、鳩山前総理がオバマ大統領に普天間移設問題に関して“トラスト・ミー”と伝えたようですが、果たして管総理は国民に“トラスト・ミー”と誠心誠意伝えることが出来るのでしょうか?もちろん、前総理のように全く言動の信頼出来なかった人は政治家の中でも稀だと思いますが(だから宇宙人と言われる)、さすがに二代続けて総理大臣が無能だと、この危機を乗り越えるのが難しくなるかも知れません。管総理には、これまでのことは目をつぶり、せめて“乱世の英雄”であって欲しいと願うばかりです。


こころの感作

2011-02-19 21:31:44投稿

いよいよスギ花粉の飛散が確認され、花粉の飛散予報が天気予報でも流されるようになりました。私は小児喘息とアトピー性皮膚炎の既往があり、スギ花粉やハウスダストに対するアレルギー性鼻炎とアレルギー性結膜炎をもっています。そのため毎年2月から5月初旬までの期間は憂鬱な日々が続きます。

その花粉症を引き起こす感作とは、一度接触した抗原を体内の細胞が記憶して、その抗原に対して過剰に反応する準備をすることです。そのため花粉症が突然発症したり、これまで飲み続けたお薬が急に皮膚炎を起こしたりします。私の場合は、年齢を重ねるうちに秋の花粉や黄砂にも多少反応するようになってしまいました。

ヒトは生まれて母親の体外に出てからは、否応なしに様々な物質に触れることになり、長く生きているうちに何時かアレルギーを発症するリスクがあります。しかし、ある意味“こころ”も人生経験を積むに従って感作されて、“こころのアレルギー”も存在するように思えます。これは単なる記憶という意味ではなく、感作された“こころ”はあくまで無意識に影響を与えていると考えます。そして“こころ”を感作した”抗原”が判らないゆえに、あとで振り返っても自分自身の言動の根拠が判らなかったり、目に見えないストレスが体を蝕んだりするのではないでしょうか?


フェアなスポーツ

2011-02-09 20:05:00投稿

昨年の南アフリカサッカーワールドカップでは、多くの誤審が話題となりましたが、以前よりサッカーの世界では、“ホーム”と“アウェイ”で審判の判定に差があることが常識となっています。それが度を過ぎるとエクアドルのバイロン・モレノ元主審のように、ある時は2002年ワールドカップでイタリアのトッティを退場処分にし、またある時はエクアドル国内リーグ戦でロスタイム6分の表示が出たにも関わらず、地元のチームが逆転するまで何と12分ものロスタイムを取るなどして、世界中から非難されることになります。

選手間に接触のないスポーツは判定が容易ですが(そもそも審判自体がいない場合もあります)、コンタクトスポーツでは審判によって判定に差が出るのは仕方のないことだと思います。しかし“ホーム”だろうが“アウェイ”だろうが、同じ行為が試合によって異なる判定となるのは理解に苦しみます。つまり、どの競技でもルールがあって“ホーム”ではこの反則は取られないが、“アウェイ”なら取られる“等と記載されているルールブックなんて無いからです。少なくとも判定に頼らなくても“ホーム”のチームは、慣れたグランドでプレー出来ること、移動なしで自宅から来られるため体調管理が容易なこと、そして何よりも観客(家族や恋人など)が熱心に応援してくれることで、十分試合を有利に進められるはずです。“不正をしてまで勝ちたい”と思うのは、生活がかかるプロスポーツ選手の悲しい性なのでしょうか?

NFL(アメフト)では、判定が適切に行われるように7人もの審判が目を光らせていて、“究極のコンタクトスポーツ”でありながら判定が安定しています。反則(イエローフラッグ)が出るとかなり不利な状況となってしまうので、選手も反則を取られないように細心の注意を払っているように見えます(もちろん、血の気の多い選手が多いので“カッとなって”フェイスマスクを掴むなど悪質なものも時に見られますが…)。また審判の判定に納得が行かない場合には、ヘッドコーチが“チャレンジ”をしてビデオ判定を要求出来ます。さらにテレビでは誤審率も流されるなど審判にとって厳しい世界ではありますが、試合の結果がその後の人生に直結する選手のことを思えば、審判もそれなりの覚悟をもって望むべきだと思います。


エジプトの政変について

2011-01-30 17:21:00投稿

数日前よりエジプトでは、ムバラク大統領の辞任を要求するデモが続いています。警備をするはずの警察も職務を放棄し、一部のデモ隊は暴徒化し商店を襲って略奪行為を働いており、治安の悪化が深刻になっているそうです。

今回のエジプト政変のきっかけとなったチュニジアでのデモは“ツイッター革命”などと言われ、若者を中心とした世代による平和的な革命として賞賛を浴びました。また、チュニジアの前大統領は、独裁政治を行い私腹を肥やしていたとし、このアラブの専制君主が打倒されたことは好意的に報道されていました。しかしこれがエジプトの話となれば、状況は変わってきます。オバマ大統領は直ちに親米政権が打倒されるのを恐れて、民衆に冷静な対応を求める声明を出しましたし、日本国内で流されている情報は少なくとも“ムバラクは暴君だから、民衆よ立ち上がれ!”という調子ではありません。

以前イラクでは、フセイン前大統領が恐怖政治を行っているかのような報道が度々なされたため、アメリカが“フセインは大量破壊兵器を持っていて、このままでは近いうちに攻撃して来る。その前にフセインを倒さなければ、皆がやられてしまう!”と言えば、多くの国々は“そうだ!フセインは悪党だから、きっと悪いことを企んでいるに違いない!アメリカの言うことは正しい!”と賛成してしまいました。結果はご存じの通りで、大量破壊兵器など何処にも有りませんでしたし、現在のイラクが以前と比べて良くなった、と考える人は少ないと思います。

世界各地で起こる出来事が、アメリカを介して情報化されており、都合の良い方向に操作されている可能性があります。もちろんアメリカだけが特殊ではなく、社会主義国やヨーロッパ諸国でも独自のルートで出来事を解釈して流しています。ただ”アメリカが盟主としての自覚を持ってフェアな立場であって欲しい”という人々の願いは叶わず、あくまで自国の利益を最優先に考えていることが、各国(特に反米諸国)から批判される原因だと思います。いずれにしても、日本のように自らの諜報機関を持たず、自分で物事を判断することを放棄した国家の先行きが心配されるのは間違いありません。
 

 


歯に効く成分

2010-12-31 16:23:12投稿

学生時代にある歯科で「歯磨き粉は、何が良いですか?」と聞いた時、「どれを使っても同じだよ。何時間も歯を歯磨き粉に浸した状態にすれば違いがあるかもしれないけど、せいぜい数分間磨くだけでは効き目は出ないよ。」と言われて衝撃を受けたことがあります。しかし言われてみれば、小学生の頃に行った“フッ素塗布”では、トレーの上においた綿にフッ素を染み込ませ、歯に取り込ませるために通電した状態で長時間くわえておかなければなりませんでした。

実際、テレビで宣伝している洗口液で口をゆすいだとしても、長期間口の中に液体が残る訳ではないので、単純な洗浄効果以外、成分による効果は期待出来ないはずです。しかも、洗口液はかなり苦みと刺激があるため長時間ゆすぐのは不可能で、それならばフッ素含有の歯磨き粉を口に含んでなるべく長くゆすぐ方が現実的と思います。

一方で、“歯をコーラにつけたままにすると歯が溶ける”というシーンを昔テレビで見たことがあります。これはコーラに含まれるリン酸が歯質を溶かすためで、この場合も長期間歯に付着した状態であればリスクがあるそうですが、“飲む時には歯を通過していくだけなので安全である”とコカコーラ社は発表しています。

結局、“成分が歯に影響を与えるためには時間がかかる”というのが真実で、以前のブログでも取り上げましたが、“有効成分が含まれていることと実際に人体に有効であることは別物”ということを証明しています。


溶ける糸

2010-12-25 10:28:00投稿

刑事コロンボは、NHKで時々再放送をしているのでファンの方も多いと思います。その中で最も有名な話が、”溶ける糸”かも知れません。私は小学生の時に初めてテレビで見たのですが、”死の方程式”や”二枚のドガの絵”と並んでベスト3に入る名作だと思っています。

犯人の心臓外科医は溶ける糸を使って心臓手術を行い、その患者(犯人の上司)を術後の心臓発作に見せかけて殺す計画を立てます。しかし、看護師に怪しまれたため、その看護師を殺害します。最後には、再手術を行い証拠の溶ける糸を隠そうとしますが、コロンボに見つかってしまいます。

眼科の手術では、絹糸、ナイロン糸、そして”溶ける糸”である吸収糸を使います。吸収糸は、溶ける過程で炎症反応を起こし組織が接着する(逆に炎症を起こさせたくない部位には使いません)ので、主に目の筋肉や結膜の縫合に使用します。ちなみに術後に縫合不全が起こるのは、局所の血流障害や感染が原因であって、糸が溶けるからではありません。ですから、いくら頑丈な糸で縫合しても縫合不全は現に起こっているのです。

もちろん、人工物(人工血管や人工弁)を用いる心臓手術の場合は、溶けないナイロン糸を用いる必要があり、”溶ける糸”で手術を行えば、術後しばらく経って糸が溶けた時点で縫合不全を来して患者を殺害することが出来ます。刑事コロンボでは、コロンボが初めに現場に駆け付けた時点で、何等かの手がかりを見つけて犯人を特定するパターンが多いですが、今回は看護師に気づかれなければ完全犯罪が成立していたかもしれません。恐らく、脚本家もこのストーリーの面白さを前面に出したいと考えて、トリックをそのままタイトルに使ったのだと思います。


ピエール・エルメ

2010-12-19 19:25:00投稿

昨日BSテレビで人気パティシエのピエール・エルメの特集をやっていました。彼は”スイーツ界のピカソ”と称され、2007年にはフランスのレジオン・ドヌール勲章を仏大統領から授与されています。

私は山口市在住の田舎者ですが、大のスイーツ好きで、ピエール・マルコリーニやジャン=ポール・エヴァン、日本人なら辻口博啓や稲村省三、鎧塚俊彦といった有名パティシエのお店に行っています。その甲斐あってか、幸運にもピエール・エルメのイクスピアリ店では、偶然来日中のエルメご本人に会うことが出来ました!開店直後に入店したため他に客はおらず、写真でも撮らせてもらえば良かったと悔やまれますが、凄まじいオーラを感じてそんな余裕はありませんでした…

エルメの日本での一番の功績は、マカロンを定着させたことでしょう。以前はバニラやチョコ、ストロベリーといった限られた種類しかなかったものを、あくなき探求心で食材を集め、ワサビの微妙な甘さを見つけて使ったり、今では”オートクチュール”つまり特注のマカロンまで作ったりしているそうです。

また、エルメは”本当に美味しいものを皆が食べれるようにしたい”と考えて、マカロンのオリジナルレシピ本を出版しています。凡人の場合は、”門外不出の”とか”秘伝の”とかいってレシピを公開しないものですが、たとえ営利目的で同業者がレシピを真似したところで、エルメと同じ味は出せないという自信を持っているそうです。

私が大学院生として研究をしていた頃、確かに実験のうまい下手はあり、全く同じ実験を行っても綺麗な結果が出る人と出ない人がいました(私は後者でした…)。ところが科学雑誌に載っている論文では、その方法通りに行った場合には論文と同じ結果が出なければならず、再現が出来なければ逆に”捏造”という可能性が出てきます。そういう点では、同じレシピで再現しても同じ作品にならないエルメのマカロンは、科学では証明出来ない、まさに”食べる芸術品”と言えるかもしれません。 

 


銀座眼科の事件について

2010-12-09 01:13:00投稿

先日、元銀座眼科院長が逮捕されたとのニュースが流れました。ずさんな衛生管理が感染性角膜炎などの感染を招いた業務上過失傷害の疑いということでした。報道によれば、医療機器の滅菌消毒だけでなく、手術中に医師が手袋やマスクを着用していなかったそうです。テレビでは、ある眼科教授が、「医師というより、医学生のレベルの医療だ」と言っていました。そして1日に20人ほどの患者さんを手術するなど、営利追及の医療を行ったのが原因ではないか、とも言っていました。

東京などではレーシックを受ける患者さんの争奪戦が激しく、いかに値段を安くするかを競っています。レーシックは保険適応ではなく自費診療のため、価格は自由に決められます(銀座眼科の場合、費用は片目なんと10万円!)。その付けが、医療機器の使いまわしなど行き過ぎたコスト削減に来ていたのでしょう。

リーマンショック以来の長引く不況で、日本はデフレに陥っています。少しでも安く手術を受けたいと思うのは判りますが、私だったら、あまりに安い価格で手術を受けたいとは思いません(基本的に“安かろう、悪かろう”の考えの持ち主です)。レーシックが普及し、いかにも安全で簡単な手術だと思われがちですが、一度レーザーを当てた角膜は一生元には戻りませんし、たとえ小さな傷であっても自分の体を傷つけること(=手術)がそんなに安いものでしょうか?車をちょっとぶつけただけでも、10万円くらいは修理代がかかるのに、自分の目の手術(いわゆる修理)がそれと同額というのは違和感があります。

ロビン・ウィリアムズ主演の映画「パッチ・アダムス」で、主人公の医学生達に教授が諭す場面があります。「医師は合法的にメスで人の体を傷つけることが出来る職業だ。患者さんは、医師を信頼しているから自分の体を医師に委ね、メスで傷つけられることを許すのだ。だから君たちは医師の責任と使命を決して忘れてはならない」大意そんな内容だったと思います。

私も眼科医として手術を行っていますが、常にこの言葉を思い返してメスを持っています。手術をされる場合は、価格よりも執刀医や病院の信頼性を判断の基準にされることをお勧めします。


健康食品のお話

2010-12-04 12:15:00投稿

昨今の健康ブームは不況下でも続いており、テレビでも”いわゆる健康食品”の広告が目につきます。国が承認した保健機能食品であれば、ある程度エビデンスがあるようですが、ヒアルロン酸やコラーゲンを摂取したからといって本当に効果があるものでしょうか?

そもそも、口から摂取したとしても、吸収されて血液中をまわり、全身の中で標的臓器に到達しなければ意味がありません。ですから、内服したヒアルロン酸やコラーゲンが膝関節や皮膚に効くためには、特異的に皮膚や関節のみに移行するのか、よほど高濃度で全身に蓄積するかです。

一方で、化粧品など皮膚に塗る場合は、皮膚のバリアーを通り抜けて上手く染み込んだとしても、異物と認識されれば体外へ排除されるだろうし、そこに留まることが出来たとしても、一時的な効果しか期待できない思います。論理的に考えれば、ヒアルロン酸やコラーゲンを産生している細胞自体を元気にさせることが必要で、そのためにヒアルロン酸やコラーゲンを細胞に与えたとしても、本当にその細胞が喜んでヒアルロン酸やコラーゲンを産生し始めるか疑問が残ります。

もちろん、食生活は生活習慣病の予防などで重要な役割を担っており、不足した成分をサプリメントで補給することは理にかなっています。ですから、結果的にお肌が綺麗になったり、以前より関節が丈夫になったと感じられていれば、それらの健康食品も多いに役に立っていることになります。しかも、効果が出るまで何十年もかかるものであれば、国から承認されるのは困難なので、毎日使用していれば将来明らかな差が出ているのかも知れません。

ちなみにヒアルロン酸の目薬は、角膜の細胞に作用して角膜の創傷治癒を促進したり、涙液を安定させるというデータがあるため、角膜びらんやドライアイの治療でよく処方されています。


意外と使える生体被覆材料

2010-11-27 19:07:48投稿

前回、創傷治癒についてお話しましたが、今回は眼科領域で生体被覆材料による治療が有効だった症例についてお話します。患者さんは15歳の女性の方で、数年前から繰り返す両眼の上眼瞼の傷(ただれ)と痒みに悩んでおられました。もともとアレルギー体質で、繰り返し掻いているとのことでした(写真左上)。

傷が治らない理由は次のような悪循環、つまり、「傷が痒いので掻く」→「傷が悪化する」→「痒みが悪化する」→「傷を掻いて傷が悪化する」と考えました。こうした場合は、なんとかして一回でも傷を完治させることが重要で、そうすれば痒みが起こりにくくなり、掻くことによる傷の再発を予防できると考えました。

まずは”傷を乾かさない”という原則のもと、眼軟膏を頻回に塗布するようお願いしました。軟膏の塗布は湿潤療法の有効な手段ですが、1日1~2回の塗布では不十分で、あくまで乾かさないために頻回に塗布することが必要となります。ところが、この治療では、べたつくためにコンプライアンスが悪く、治りませんでした。そのために、生体被覆材料(デュオアクティブET®)を小さく切って瞼に貼りつけたところ(写真左中)、3日後には痒みが消失し、1週間後には傷が綺麗に治りました(写真左下)。傷を乾かさない点について、眼軟膏よりも生体被覆材料のほうが、より乾きにくいこと(いわゆる密封療法に近い)、軟膏のようにべたつかないこと、そして肌色なので目立たないこと(*製品により色は異なります)がコンプライアンスの上昇と治癒につながったと考えます。

眼科領域で生体被覆材料を使う医師は聞いたことがありませんが、個人的に有効な手段だと思っています。


傷が治る仕組み

2010-11-24 22:22:04投稿

記念すべき最初の話題は、医療に関係のある内容にします。我々人間は、単細胞生物から進化を遂げ、多細胞になったため、自らの傷を治す機能を持っています。この働きを創傷治癒機能と言って、○×細胞が出すサイトカインがどうのこうの、とか研究がされています。そんな難しいことは専門家に任せて、皆さんに知っておいてもらいたいのは、極めてシンプルな論理です。つまり、“傷が治ろうとするのを邪魔しないこと”です。

例えば、傷が治るために望ましい環境とは、酸素や栄養が行き届く湿潤な状態です。逆に異物の存在や、感染が生じていれば傷は治りません。ですから、道で転んで足を擦り剥いた時にやるべきことは、水道水で傷を良く洗って砂などを洗い流してから、傷が深くなければ市販の生体被覆材料(キズパワーパッド®)などで被覆して乾かさないことです。ここで絶対避けてもらいたいのが、傷を乾かすことです。ガーゼを貼ったり、ある種のスプレーを使ったりして傷口を乾燥させてしまえば、“傷が治ろうとするのを邪魔する“ことになり、自分で自分の体を痛めつけていることになります。

目に何かゴミが入った時も、目を水道水でよく洗って、異物が除去されることが第一です。もちろん目の場合は特殊な器官ですから、眼科を受診することが望ましいのですが、どうしても眼科に行けない時など、まずは洗っておくことが有効な手段です。一方で、目において“傷を乾かさない”ようにするには、眼帯などで瞼を閉じて塞いでおくことが良いかと思います(ただし、この場合は、充血の程度や視力低下などが判りにくくなるデメリットもあります)。また、このような状況では、コンタクトレンズの装用は湿潤環境を壊してしまうので、使用してはいけません。もちろん、洗浄しても一旦感染が起こってしまえば、症状や所見が悪化して来ますから、そこはきちんと傷の状況を観察して、怪しいと感じた場合はすみやかに眼科に行くよう注意して下さい。

最初から長文になりそうなので、この話題は、いずれ続きを書きたいと思います。


ブログを開始しました!!

2010-11-22 14:00:00投稿

副院長 斎藤 淳のブログを開始しました。内容は、眼科や医療のことにとらわれず、日頃のニュースや趣味についてなど、全般的に書き込みたいと思っています。このブログにより、一人の人間として身近に感じてもらうことで、より患者さんとのコミュニケーションがとれるようになることを目指しています。宜しくお願いします。